韓国のインターネット放送ベナTVより、姜哲煥氏の対談番組を紹介。日本語字幕付きです。在日コリアンや朝鮮学校関係者は必見でしょう。
冒頭部分のやりとりを抜粋しておきます。
(朴香樹)
私が北の現実について知るきっかけになったのが、カンさんのこの本なんです。
カンさんのこの本、日本語なんですが「平壌の水槽」、韓国語版、英語版も持っていますが、この本を読んであまりにも大きな衝撃を受けました。
私は幼稚園から高3まで総連傘下のいわゆる朝鮮学校で過ごし、北朝鮮を社会主義わが祖国と学び、金日成元帥様、金正日指導者様と呼び、北の歌を歌う。
そんな環境で育ちました。私がまったく知らなかった世界があったんだと。なぜ今までこの事実をまったく知らなかったのか。
私にも北朝鮮に親戚、従兄弟が住んでいて、今は収容所にいると聞いているんですが、その収容所というものが本当に存在し、そこでの現実がここまで凄惨だったのかと、この本を何度読んだか分からないほど、下線も引いて読みながら、カンさん自身になったような感覚になるまで。
あまりにも胸が痛くて、眠れないほどの衝撃を受けました。
この本との出合いをきっかけに、脱北者の手記を狂ったように読み漁るようになりました。
100冊くらい読んだかも知れないです。
韓国で暮らしているので、そのうちいつか、必ず一度は会ってみたい人でした。
(司会)
今日ついに、本当にお目にかかれましたね。ご本人の本がこのように多くの人々に影響を与えたという事実をどう受け止められますか?(姜哲煥)
私の両親も日本で暮らしていて、 北朝鮮に渡った方たちですが、 私のこの本を初めて外国語に翻訳した国が日本なんです。
日本から約98000人の在日同胞が北へ渡り、そのうち半分以上が捕まったり、亡くなったり、むごい被害を受けました。
このような実態を具体的に説明する人は誰もいなかったんです。日本で暮らしていた私の祖父が、総連の核心幹部として活動をしていましたし、たくさんの人たちが私の祖父を覚えていました。
京都に行けば、私の祖父母を知らない人がいないほどでした。そんな家族が北朝鮮に渡り、 行った当初は、ピョンヤン中央政府が、私たち家族を朝鮮画報に載せて紹介したりしました。祖母は朝鮮女盟委員会の副委員長だったので。ちなみに委員長は金日成の当時の夫人、キム ソンエ氏でした。
その副委員長まで務めたので、成功した帰国者家族でしたが、没落したんですね。
収容所に連れて行かれ、約10年間、収監生活を余儀なくされました。
それは私にとっても大きな衝撃でしたし、その収監生活、収容所生活についてですが、私がそのすべてを書くのは難しいです。
10年間の収容所生活の内容を全て語り尽くすことは不可能ですが、その中でも印象的だった体験を選んで書いたのですが、実際の収容所は、この本の内容よりもっと酷いことがたくさんありました。
この本を読んでくれた在日同胞の多くが、一緒に涙を流してくれました。
北朝鮮に息子を送った人、両親を送った人、本当に多くの在日の家族が北で酷い被害を受けました。
しかしその被害に対する補償はもちろん、すべてが葬られ、埋められ、言い尽くせない苦しみを味わった人々が数知れないです。
私が初めて日本に行って、記者会見をした時、総連の幹部が会見場の後ろの方でそっと涙を流しながら立っていました。口には出せない。北朝鮮に家族がいるから。
会見場から退室する時、その人たちが私の手を握り、ご苦労さま、応援するから、がんばってくれと、そんな人たちを数多く見ました。
日本の多くの人々が北朝鮮政権に対して憤りを感じていますが、家族が人質として捕らわれているので、抗議もできない。そのような状況が、本当に歯がゆかったです。
私の本を読んで、たくさんの人が共に悲しみ、一緒に涙を流したようです。
総連幹部や朝鮮学校の子供や卒業生にぜひ見てもらいたい内容になっています。