声明文 ~日韓クロッシング川崎デモを延期するにあたって~

声  明  文
~日韓クロッシング川崎デモを延期するにあたって~

日韓クロッシング 川崎日の丸・太極旗デモ実行委員会

今般、2018年2月18日にJR川崎駅周辺で予定しております「日韓クロッシング」主催の日の丸・太極旗デモの開催に関しまして、多数の方よりご意見ならびに実施の再考を求める要請を受けました。

それらを受けて、川崎デモの実施に関して、あらゆる観点から検討を重ねて参りました。結果、このデモに関連する私どもの見解について以下の通りお伝えしますとともに、声明として意見表明をさせて頂きます。

《日韓クロッシングの活動について》

今般の日韓クロッシングの集会とデモにつきましては、告知後、呼びかけに応じる声がある一方、「ヘイトスピーチである」、「レイシストを招き寄せることになる」といったご意見や憂慮の声が、川崎市民の皆様をはじめとした多くの方々から寄せられました。

これらの声の中には、私どもの掲げる「6つの課題」について“ヘイトスピーチ団体と同質のものである”という事実に基づかない誤解によるものもありました。

私たちが表明している6つの課題については、以下の通りです。

  1. 拉致は国際テロ犯罪です。私たちは断じて許しません。日韓の拉致被害者を一日も早く救出しよう! (全文

  2. 北朝鮮帰還事業で私たちは北朝鮮に人質を取られた。この人たちを救わねば、私たちも救われません。北朝鮮にいる親族を取り戻そう!(全文

  3. 北朝鮮の恐怖支配から人々を解放することは、私たちの課題だと考えます。そのために日本人と在日コリアン、日本と韓国は連帯し、協力していこう!(全文

  4. 国際テロ・犯罪の実行集団には人々を統治する資格がありません。一刻も早い退場を求めよう!(全文

  5. 私たちは金正恩の核脅迫の下で暮らす時代を子供たちに残すことはできません。核脅威のない北東アジアのために、日本人と在日コリアン、日本と韓国は協力していこう!(全文

  6. 在日コリアンの子どもたちに国際テロ・犯罪者集団への忠誠心を育てる朝鮮学校を早急に改革し、朝鮮総連の支配を排除し、正しい民族教育を在日の手に取り戻そう!(全文

上記の課題にもある通り、完成間近い北朝鮮の核/ミサイル開発は平和への重大な脅威であり、暴虐の圧政が人々から自由を奪い、生命をも奪い続けています。

私たち自身にとっても、日韓の拉致問題、帰還事業で北朝鮮に渡った家族の安否、そして親族の脱北などの問題は、一日も早く解決しなければなりません。

また民族教育の場である朝鮮学校についても、北朝鮮の独裁者への無批判な礼賛に誘導する教育実態を是正し、学外の組織からの支配を排し、子どもたちを安心して通わせることができる健全な学び舎に再生することを願い、当事者たる在日コリアンの声に基づき、日韓クロッシングの課題の一つとして重視しています。

これらの課題から目を背けず、その問題を日韓連帯の力で解決をしようと訴える「日韓クロッシングの趣旨と精神」は、当然日本の地域社会で暮らす在日コリアンに向けられた偏狭な蔑視感に起因したヘイトスピーチやヘイトクライムを許さないという想いと、まったく同じであります。

私たち「日韓クロッシング」は何よりも人権尊重の大切さからこの運動を進めている者であり、深刻な人権侵害を生み出しているヘイトスピーチや民族差別・人種差別に対して真っ向から反対する者です。

だからこそ、私たちがこれまで実施してきたデモにおいては、主催者が掲げたテーマ・スローガン以外の言動を禁止し、指定したプラカードの使用のみを許可するなど、厳格なルールを定めて行動してきました。

《川崎デモに関して》

私たち日韓クロッシングの《川崎デモを延期するにあたって》の声明として、以下の通り見解をお伝えさせて頂きます。

今般、私たちが「川崎で集会とデモを実施したい」と考えた理由は、北朝鮮への帰還運動において川崎が歴史的に重要な地域であることに起因します。近年川崎においてもヘイトデモが起こっていたことに関しては、当然憤りや怒りを感じておりました。

私たちは在日コリアンが抱えてきた人権問題について、日本国内で受けてきた差別だけでなく、帰還事業で北朝鮮へ帰国した後に受けることになった差別にも注目しています。

北朝鮮への帰国船に乗った在日コリアンは、帰国前に伝えられていた日本への自由往来を果たすことも叶わず、「祖国」と信じた北朝鮮において想像を絶する人権蹂躙を受けてきた実態は多くの脱北者からも語られています。多くの帰国者を生んだ川崎という地域だからこそ、私たちと共に立ち上がることを呼びかけていこうと考えました。

その想いを胸に、川崎デモの実施に関する告知を行いましたが、それ以降、本当に様々なご意見を頂きました。

種々のご意見を検証し、深く検討を行った結果、結論として『度重なるヘイトデモ以降デモ行動そのものに心情的なストレスを感じている市民感情』に配慮し、今回の川崎でのデモ行動については一旦「延期」とする』運びと致しました。

私たちの主張について広く賛同を求める中で、呼びかける方法は決して一つではありません。私たちも川崎地域の現状についてより理解を深め、また川崎地域の皆様にも私たちの考えをご理解頂く時間が必要であると感じております。

日韓クロッシングは、北朝鮮をめぐる人権問題の解決を訴えるグループです。これを《ヘイトスピーチだ》とする批判が起こったことは大変残念なことですが、それほどにヘイトスピーチそのものを巡る概念自体が未成熟で、判断に困難な部分がある事は否めません。

私たちは謂れない誹謗中傷や差別扇動を行なうことには明確に反対し、ヘイトスピーチやヘイトクライムを許さない事に変わりはありません。

一方で、北朝鮮を巡る人権問題の解決を願って日韓連帯を求め、両国の国旗を掲げたデモを行なうことに関して一部嫌韓を訴える人たちから批判・誹謗中傷を受けることもありました。しかしながら、私たちが実施してきた集会やデモについて、地域の方々から咎められるような問題が起こることはまったくありませんでした。

しかしながら、憂慮する点もあります。「6つの課題に賛同する」という趣旨で参加を募るという緩やかな連帯である中、かつて川崎でのヘイトデモに関与した人や今もなお関与している人が参加していたことも、調査の結果、事実として判明致しました。

参加される方については「6つの課題に賛同する」という前提で、個人の国籍、民族、思想、信条、所属などを問うことはありませんし、本来、政治的言論は《表現の自由》の中でも民主制を支える重要な価値を有するものであり、手厚く保障されねばならないことは論を待たない所です。ましてや個々人が様々な考えを持つ中で、思想信条の細部までを問うことは出来ることではありません。

ただし、北朝鮮の権力集団による不法行為、犯罪行為に関連して、日本社会の特定の人たちを対象に、誹謗中傷や脅迫行為、犯罪性を含んだ良識や良心を逸脱する行為に走ることは断じて容認できる事ではありません。

私たちは人権問題に関するデモにおいて行動を共にしていこうとするものであって、私たちのデモ活動が人権侵害や暴力行為を行なう隠れ蓑として利用される事があってはなりません。デモに参加をした方が、SNS等において民族や人種に拠る差別感情を露わにして、個人への卑劣な誹謗中傷をおこなう事は大変遺憾であり、深く反省を求めるものであります。

ただし考えをより深めた結果、これまでの行動を反省して、私たちが掲げる「6つの問題」に心から賛同される方については、行動をともにすることを拒む理由はありません。

北朝鮮を巡る様々な問題、中でも脱北者問題、在日朝鮮人の帰還事業、日本人拉致問題などは、とりわけ深刻な人権問題であり、日本国内のヘイトスピーチ問題と同様に、その現実から目を背けてはならないと私たちは考えています。また北朝鮮では国家的な人権蹂躙状況の中で核やミサイルの開発が優先される事については、明確に「NO」の大きな声を日韓が連帯・連携して挙げねばならないと考えています。

韓国内においては、太極旗を掲げて北朝鮮の抱える人権問題を訴え、そこに目を向けずに特定の思想的見地による統一運動が行われていく事に反対するデモが、数万人単位で一年以上にわたり続けられている現状があります。この事実は日本のマスコミではほぼ報道されておりません。

一方韓国民の多くの関心があたかも反日であるような印象を与える報道がなされることによって、結果的に日本人の嫌韓感情を高め、ともに課題克服へ協力をしていこうとする声すら届けることが難しい状況を生み出しています。日本と朝鮮半島に共通する人権問題について、公正性を持った報道がなされることも切望するところです。

こうした北朝鮮の様々な人権問題について声を上げることは、ヘイトスピーチであるはずがなく、とりわけその被害者の声を「ヘイトスピーチだ」と咎める事があってはなりません。拉致問題や帰還事業など、朝鮮半島に繋がる深刻な人権蹂躙の状況を政治問題の意見対立の中に落とし込み、蓋をしてきたこれまでの日本社会の姿勢を反省し、また苦しくとも声を上げることの出来なかった在日コリアンの状況に、今からでも耳を傾けなくてはなりません。

また日本人と在日コリアンが一緒に声を上げることを阻害する要因があるのならば、双方が協力してそれを克服していく事が必要です。在日コリアンが祖国との関係の中で抱えている人権問題について、葛藤や意見を自由に表明できる環境を作っていくことも重要であると考えます。

私達は、日韓で連帯して北朝鮮のこうした問題を共に訴えて行くという精神の下、今後も活動して参ります。多くの皆様のご賛同とご支援を賜ることができれば幸いです。

そして、川崎市民の皆様の実情、お気持ちを十分に考慮した上で、改めて実施の時期を決めていきたいと考えています。

以上

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